手塚治虫がデビューしてから、70年。
週刊少年ジャンプが653万部の最大発行部数号を記録してから、20年。
京都精華大学に日本初のマンガ専攻学部ができてから、15年。
「マンガ」はこの数十年のうちに社会の隅々まで根付き、
読者たちの共通言語となり、
圧倒的な文化産業として成熟してきました。
間違いなく、マンガは日本発の世界に誇る文化産業と言えるでしょう。
しかしその一方で、子どものマンガ離れが懸念されつつあります。
大人のみなさんは驚くかもしれませんが、
(今は一部の)子どもにとってマンガは他の娯楽に比べ、
「少し難しいもの」「手に取りにくいもの」「大人が読むもの」なのです。
もしかしたらこのままマンガ離れが加速し、マンガ文化が先細っていく…
そんな未来がやってこないとも限りません。
加えて、作品のアーカイブや原画保存のあるべき姿を模索することも急務です。
このように、円熟の域に達したマンガ産業だからこその課題が生じています。
世界に誇るマンガを、この先100年続く文化産業として、
継承していくにはどうしたらいいか。
私は、マンガの作品性はもちろんですが、
「教育」「コミュニケーション」「情報伝達」など、
マンガの備える優れた機能面にも着目することで
可能になるのではと考えています。
日本のマンガ業界は閉鎖的で保守的な一面を持つとも言われ、
改善すべき点が少なからずあると感じています。
と同時に、マンガへの愛と才能にあふれた「業界人」がたくさんいるのもマンガ業界です。
作品として、商品として、資料として、(二次利用の)原作として、
マンガのポテンシャルは無限大です。
私はこのポテンシャルをマンガ業界と他業界を横断しながら
最大限に発揮できる環境づくりを目指します。
日本が世界に誇るマンガ産業を変革することが、
日本のコンテンツ文化を取り巻く状況に、
ひいては社会そのものに新たな未来に向けた変革をもたらすと信じ、
これからも挑戦しつづけます。
〈代表プロフィール〉

山内康裕(やまうち やすひろ):
レインボーバード合同会社/マンガナイト代表。1979年生。東京生まれ、つくば育ち。大学卒業後、ゲーム会社マーケティング部、会計コンサルティング会社を経て、法政大学イノベーションマネジメント研究科を修了(MBA in accounting)。20歳から仕事や勉強の傍らマンガ業界の研究を始め、2009年、マンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」を結成。各種イベント・ワークショップ・執筆・選書・商品開発を手がける。
また、2010年にはマンガ関連の企画会社「レインボーバード合同会社」を設立し、“マンガ”を軸に施設・展示・販促・商品等のコンテンツプロデュース・キュレーション・プランニング業務等を提供している。
主な実績は「立川まんがぱーく」「東京ワンピースタワー」「池袋シネマチ祭2014」「日本財団これも学習マンガだ!」「アニメorange展」等。
「さいとう・たかを劇画文化財団」理事、「国際文化都市整備機構」監事も務める。
共著に『『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方(集英社)』、『人生と勉強に効く学べるマンガ100冊(文藝春秋)』等。